2017年02月20日

孤独死(猫の現場から)

私が携わっている現場で、、
地域猫活動をしている住民が
全員、猫嫌いというめずらしく、かつ
素晴らしい場所がある。

話は、去年の春にさかのぼる。
保健所に、ある地区の住民から相次いで苦情が
舞い込んだ。
「近所の老人男性がゴミ屋敷化した家屋に
猫を出入りさせ、どんどん産まれて増えた。
猫が庭に入り込み、糞をして迷惑」
すべて同じ老人への苦情だった。
保健所職員が、その家屋を訪ねたところ
「全部、うちの飼い猫。
 手術するつもりはない!」と逆ギレ。
私も同行して、まず町内会長さんに会った。
「自分の飼い猫ならば、飼い主が責任をとるのが
すじ! 勝手な飼い方をしておいて
町会が助けてやるなんてこと出来ない」と
怒り心頭。
「ごもっともなんですが
社会には、どうしようもない人もいますし
ましてや、独居の高齢のかたですからね
それと、今は、猫が増え続けることをなんとか
止めなければいけません。
猫を手術して、問題を解決するという
解決法に協力してくださる住民もいるかもしれないから
呼びかけの協力だけしていただけませんか?」と
お話したところ、
「そんな人いると思えないけどね(笑)」と
しぶしぶ、承諾くださった。

町会の協力でチラシの掲示がはじまり、
その数日後、保健所と私とで老人を訪ねる。
ヨレヨレで染みのついたパジャマで顔を出す老人。
玄関先に、猫のドライフードが洗面器に
山盛り。
部屋の中は、ゴミだらけ。
「猫の手術はしない!!
 捕まえてるところを見つけたらぶん殴ってやる!」
と怒る老人に
話を変えて話しかけ、体のことや毎日のことなど
訊いてみると、少し気持ちが緩和したのか
態度が少し軟化した。

ある日、保健所に苦情を訴えてきた住民のひとり
Hさんが電話をしてきた。
猫を手術していくより他ないことなどを
話したら、納得してくださり
すぐにでも近所に声をかけ、活動を開始したいと
おっしゃる。

さっそくHさんと会い、
捕獲器の使い方、使用上の注意などをお教えし、
3台貸し出し。
Hさん含む、老人家屋周辺の皆様の庭に設置し
猫が入り次第、担当を決め、
獣医師へ運ぶことになったと連絡がきた。
そして、住民有志男性らが老人家屋を
無償で清掃してあげたとも連絡をくださり
地域猫活動の真の醍醐味はこれなんだと
嬉しくなった。
Hさんと会った際、
Hさんは「猫なんかどうなってもいい
ただ問題を解決したい」と言っていた人である。
人側の問題を解決する活動、
猫が好きでも嫌いでも関係ない。
人側の問題が解決すれば、おのずと猫にとっても
よい環境になっていくことを私は何度も
この目で見てきた。



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ほとんどの猫の手術が終わり、
あと1匹だけになったと、
Hさんから連絡がきたきょう・・・
あの老人が亡くなったと知った。

2月に入って、郵便受けに新聞がたまってるのを
見て、Hさんがおかしいなと感じ、
警察に連絡したそう。
病死後、一週間経過していたそうだ。

知らせを受け、駆けつけた身内の人が
猫が出入りしていた壁の穴をその日のうちに
塞いだらしい。

ただ、通りを挟んだ向こう側にも
餌やりをして苦情を受けている家屋が何軒か
あるので、もともと猫は、
行ったり来たりしていたのだと思う。
暖をとれる場所がなくなってしまったのは
心配だけど、
Hさんの話では、以前のような猫による迷惑は
めっきり減っているとのことなので
すでに分散していたのかもしれない。

こういった独居でゴミ屋敷化した家屋に住み、
野良猫に餌を与える老人は、どこにも
存在しているのが現状。

地域猫活動は、猫のための活動だけでなく
このような方を見守ることに繋がっていく。
それは、明日は我が身、
   切実なことなのである。

ニックネーム TINA at 23:33| Comment(0) | 動物ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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